大相撲の土俵で見逃された現実

大相撲の巡業での出来事です。土俵上で挨拶をしていた市長が突然倒れたのを見て、居合わせた女性看護師が救命処置を施そうと土俵に駆け上がりました。

ところが、それを見た行司が「女性の方は土俵から下りてください」とアナウンスし、場内は騒然となりました。大相撲の伝統的なルールである「女人禁制」にとらわれて、目の前で起こっている現実を「ありのまま」に受け止められなかったのです。

アナウンスを無視して救命活動を続けた看護師らのおかげで人命は救われましたが、思い込みや固定観念がどれだけ私たちの行動を狂わせるのかを思い知らされた出来事でした。

特に関心のないものだったり、何かに心をとらわれていたりするときは、目の前にあるものや現象を知覚できません。それどころか、目に映った事実を、自分に都合のいいように解釈してしまうことさえある。そのことを知った上で意識して「みる」だけで、見えるものは大きく変わってきます。