OODAループはアメリカ軍で世界の兵法や戦略理論を研究した成果をもとに開発され、シリコンバレーの起業家を中心に、アメリカのビジネスエリートに活用されるようになった思考法です。変化の激しい時代に速く的確に行動するために必要な知的技術と言えます。OODAループ第一人者の戦略コンサルタントが、日本人のためにわかりやすく、実践しやすいマニュアルとして解説したのが、『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』です。本書のウェブ版である本連載ではポイントだけを、よりコンパクトに紹介します。今回は、特別版として問題になっている関西電力のケースをOODAループ思考で考えます。

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関電幹部にとって経済合理性のない金銭授受はなぜ起きたか?

関西電力の経営幹部たちが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題が、世間を騒がせています。

10月2日、同社が2度目の会見を行いましたが、元助役の真の動機や、幹部たちは本当に返却できなかったのかなど、いまだ多くの点が謎に包まれたままです。元助役はすでに亡くなっているので、関電の一方的な説明を鵜呑みにするわけにもいきません。

ただ、1つはっきりしていることがあります。それは、これでまた原発への不信感が高まるということです。

これまでも事あるごとに指摘されていた原発マネーの闇が白日のもとにさらされれば、反原発・脱原発派は攻勢を強めるでしょう。他の電力会社と原発立地自治体との関係にも、深刻な影響をもたらしかねません。

このような結果を関電幹部たちが望んでいたとは考えられません。では、なぜ金品を受け取ってしまったのでしょうか。

お金に目が眩んだ? その可能性はなくはありません。

でも、原発事故前の役員報酬は1人当たり4100万円で、天下り後に得られる報酬まで考えれば、たとえ1億円もらっても「割に合う」行為ではなかったはずです。

つまり、倫理やコンプライアンスを持ち出すまでもなく、経済合理性の面から言っても、彼らは金品を受け取るべきではなかった。それなのになぜこんなことになってしまったのでしょうか。

岩根茂樹社長は会見で、前例踏襲主義を理由の1つに挙げています。先任からの申し送りで強引に金品を贈られることを知りながら多くの役員が受け取り、返却しようとしては拒まれ続けてきたというのです。

突っ込みどころは多々ありますが、仮にその話が本当だとすると、役員たちが金品の受け取りを拒否するチャンスは最初の1回だけだったことになります。

1度でも受け取ってしまえば返却するのはもちろん2度目を断る理由もなくなり、ずぶずぶの関係に引き込まれる。そこまで深刻なケースはまれでも、私たちの身近にも似たようなリスクはあふれています。