ボリス・ジョンソン英首相は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)問題を片付けるため、12月に総選挙を実施するよう呼び掛けていた。首相は29日、総選挙に乗り気でなかった議会の説得にようやく成功した。思い切った、切羽詰まったギャンブルだ。それはまた、新たな議会で可決させる必要がある離脱合意よりも大きなブレグジットのビジョンを信じるよう、有権者を説得する選挙戦を展開できた場合にのみ成功するギャンブルだ。過半数越えの議席を増やそうとしてテリーザ・メイ前首相が行った2017年の総選挙は惨たんたる結果となった。どの政党も単独過半数を確保できないハングパーラメント状態になり、ブレグジットをめぐり、英国に悲惨な状況をもたらした。メイ氏が、大きな政府型の保守党を選挙キャンペーンの前面に打ち出したことで、有権者は、ブレグジットや新たな保守党政権がどんな改善をもたらし得るのかについて、戸惑いを覚えた。メイ氏は、北アイルランドのユニオニスト政党(英国帰属維持を主張する政党)の1つとの弱い協力関係の下で何とか政権を維持した。しかし、これによって離脱条件をめぐるEUとの協議で、貿易政策面での順守困難な線引きの受け入れを強いられた。そしてメイ氏のブレグジット合意は英議会で否決された。
【社説】英総選挙、首相はEU離脱後の国家展望を
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