『孟子』の「先義後利」が
自分のビジネスの指針に

 そんな理由から、私も古典を繰り返し読んでいます。

 たとえば、ビジネスの世界でもよく聞く「先義後利」という言葉がありますが、これは中国の古典「四書」のひとつ『孟子』に出てきます。意味は「義を先んじて、利を後にする」、すなわち「国を治める上で一番大切なことは、目先の利益ではなく、道徳、社会の原理、原則である」という教えです。

 この言葉は、現代にも当てはまる真理だと思います。

 たとえば、私が起業家のお手伝いをしてきてわかったことは、「最初からお金儲けを目的にしている人は失敗する」という真理です。「利」が先に来て、「義」が後回しになっているからです。反対に「誰かを喜ばせよう」とか「困った人を助けよう」という気持ちで始める人が結果的に成功し、お金持ちにもなっていきます。

 私自身、コンサルタントを開業したばかりの頃、お金に困っている起業家から報酬をいただくことができませんでした。「お金のない人からお金はもらうべきでない」という原則を貫いたのです。自分も収入がなくてつらかったのですが、そんな状態を1年以上続けました。

 しかし、たくさんの人の相談に乗るうちに、自分自身にノウハウが蓄積され、起業の事例も多く集まりました。それをもとに本を書くことができましたし、その読者からたくさんの相談が寄せられました。次第に、報酬を払ってくれる人も増え、かつて無償で指導した人たちの中からも、次々と成功者が現われました。今では、彼らがお客さんになったり、ビジネスパートナーになったりしています。

 こうした体験を積み、「先義後利」という言葉に、以前より重みを感じています。今ではこの「先義後利」を、自信を持って、会社や人生の指針にできているのです。