パソコンやスマホの普及によって深刻な活字離れが問題視されている現代。その一方で、読書は人生を豊かにするとたびたびいわれるが、実際に読書は人生においてどのような役割を果たしてくれるのか。本連載では、作家として執筆や講演など幅広く言論活動をしている佐藤優氏の新刊『人をつくる読書術』(青春出版社)の中から、人生がより深まる読み方や血肉となった自身の読書体験などを抜粋して紹介する。

専門書に挑む前の「○○本」のすすめ

佐藤優
写真提供:坂本禎久

 まず、間違った読書の一つとして、いきなり専門的で難しい本を読み、理解できないままに時間を浪費してしまうことがあります。物事には順序があります。読書でも、まずその分野の入門書に当たることです。

 入門書としておすすめするのが通俗本です。通俗本というと何か言葉は悪いのですが、実際は非常に重要なジャンルだと考えています。通俗本とは専門家が一般の人たちにその知識を広めるべく、やさしく平易な言葉で解説したもの。

 通俗本の古典というと、イギリスの科学者で物理学者でもあったマイケル・ファラデーの『ロウソクの科学』が有名です。ファラデーは電磁誘導や電気分解の法則を発見した科学者ですが、この本は世界各国のロウソクやそのつくり方、利用の仕方などを紹介しつつ、科学の本質に触れていく。ロンドンの王立研究所が主催した講演をまとめたものですが、世界的な名著になっています。