中国ブロックチェーン革命、過度の期待は禁物Photo:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 中国の習近平国家主席は24日、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を同国の「中核」技術へと格上げする考えを示し、政府による巨額投資を事実上確約した。これを受けて、ブロックチェーン技術を手掛ける企業の株価は急伸。ブロックチェーン技術に基づく仮想通貨ビットコインは約30%も値上がりした。果たしてこれは、中国での次のハイテク投資で大きな機会となるのだろうか?

 投資家は慎重を期すべきだ。中国当局による開発投資で長期的に恩恵を受けるのは、ビットコインではなく、中国人民銀行(中央銀行)が向こう1年半に導入する公算が大きい「デジタル人民元」だ。ブロックチェーン技術関連の中国企業の一角にとっては、間違いなく追い風となるだろう。

 だが、これまでも国策として促進されてきた振興産業で多く見られたように、おそらく疑わしい技術を持った企業や業界との緩いつながりしかない企業が当局の支援策の恩恵を受けようと殺到し、バブルの様相を呈することになるだろう。太陽光パネル、レアアース、ロボティクス、電気自動車(EV)などは、明らかに強弱まちまちの結果を投資家にもたらした事例のほんの一部だ。さらに、中国のブロックチェーン企業は、監視・通信技術を手掛ける国内企業を目下悩ませている政治リスクに、いずれ直面することになるだろう。