2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容をもとに、抜粋・再構成して特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

蓄積される違和感

「なぜ、こんな非効率な会議を毎週続けているのか」
「誰も使っていない資料を、なぜ毎回つくらなければならないのか」
「現場の実態を知らない人が、なぜルールだけを増やしていくのか」

 職場でこうした違和感を覚えたことがある人は少なくないでしょう。

 ところが、多くの人はその違和感を口にしません。
「余計なことを言って面倒な人だと思われたくない」「上司の顔を潰したくない」「どうせ言っても変わらない」。そう考えて黙ってしまう。

 しかし、ここにこそ、職場のおかしな仕組みが温存される最大の理由があります。

放っておけば仕事の本質から遠ざかる

 問題は、非効率な会議や意味の薄い資料そのものではありません。

 本当の問題は、「それはおかしい」と感じた人が、その違和感を安全に言えない組織構造にあります。

 おかしな仕組みは、最初からおかしなものとして始まるわけではありません。かつては必要だったルールや、誰かの善意で始まった確認作業かもしれない。

 それらが時間とともに形だけ残り、目的を失っていく。
 にもかかわらず、誰も見直さない。

 なぜなら、見直しを提案すること自体が、組織の中では「波風を立てる行為」になってしまうからです。

 特に日本の職場では、仕組みに異議を唱えることが、しばしば人間関係への異議と受け取られます。「前任者を否定している」「上司の判断に逆らっている」「チームの和を乱している」と見なされる。

 すると人は、仕組みの問題を指摘するよりも、黙って従うほうを選びます。

 その結果、現場では誰もが内心で「おかしい」と思いながら、表向きは何事もないように振る舞うようになります。

 不要に見える業務に疲弊していては、仕事の本質から遠ざかっていくでしょう。
 それでも組織は、「大きな問題は起きていない」と判断してしまう。違和感が表に出てこないからです。

解釈を入れずに事実を出す

 ここに隠された致命的な欠陥があります。

 現場の小さな違和感は、本来なら組織を修正するための重要なシグナルです。

 しかし、そのシグナルを「文句」「反抗」「空気を読まない発言」として扱ってしまえば、組織は学習する機会を失います。

 重要なのは、違和感を感情論で終わらせず、業務上の事実として扱うことです。
 つまり、解釈の入っていない「気づき」をそのまま出すということ。

 愚痴や怒りではなく、環境の調整のためにお互いが事実を出し合って、解釈をまとめていくことこそが必要なのです。

 それができれば、違和感を役立て、変化に強い組織ができるでしょう。

 逆に、それを言えない職場は、どれだけ優秀な人材を集めても、古い仕組みに足を取られ続けます。