2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容をもとに、抜粋・再構成して特別公開する。
蓄積される違和感
「なぜ、こんな非効率な会議を毎週続けているのか」
「誰も使っていない資料を、なぜ毎回つくらなければならないのか」
「現場の実態を知らない人が、なぜルールだけを増やしていくのか」
職場でこうした違和感を覚えたことがある人は少なくないでしょう。
ところが、多くの人はその違和感を口にしません。
「余計なことを言って面倒な人だと思われたくない」「上司の顔を潰したくない」「どうせ言っても変わらない」。そう考えて黙ってしまう。
しかし、ここにこそ、職場のおかしな仕組みが温存される最大の理由があります。
放っておけば仕事の本質から遠ざかる
問題は、非効率な会議や意味の薄い資料そのものではありません。
本当の問題は、「それはおかしい」と感じた人が、その違和感を安全に言えない組織構造にあります。
おかしな仕組みは、最初からおかしなものとして始まるわけではありません。かつては必要だったルールや、誰かの善意で始まった確認作業かもしれない。
それらが時間とともに形だけ残り、目的を失っていく。
にもかかわらず、誰も見直さない。
なぜなら、見直しを提案すること自体が、組織の中では「波風を立てる行為」になってしまうからです。
特に日本の職場では、仕組みに異議を唱えることが、しばしば人間関係への異議と受け取られます。「前任者を否定している」「上司の判断に逆らっている」「チームの和を乱している」と見なされる。
すると人は、仕組みの問題を指摘するよりも、黙って従うほうを選びます。
その結果、現場では誰もが内心で「おかしい」と思いながら、表向きは何事もないように振る舞うようになります。
不要に見える業務に疲弊していては、仕事の本質から遠ざかっていくでしょう。
それでも組織は、「大きな問題は起きていない」と判断してしまう。違和感が表に出てこないからです。
解釈を入れずに事実を出す
ここに隠された致命的な欠陥があります。
現場の小さな違和感は、本来なら組織を修正するための重要なシグナルです。
しかし、そのシグナルを「文句」「反抗」「空気を読まない発言」として扱ってしまえば、組織は学習する機会を失います。
重要なのは、違和感を感情論で終わらせず、業務上の事実として扱うことです。
つまり、解釈の入っていない「気づき」をそのまま出すということ。
愚痴や怒りではなく、環境の調整のためにお互いが事実を出し合って、解釈をまとめていくことこそが必要なのです。
それができれば、違和感を役立て、変化に強い組織ができるでしょう。
逆に、それを言えない職場は、どれだけ優秀な人材を集めても、古い仕組みに足を取られ続けます。
忙しいリーダーに、効果のあることだけ
発売5日で大重版!
その後たちまち、2万7千部突破!!
とっても売れてます!!!

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太