消費増税で軽減税率の対象外
「酒類」で起きた駆け込み購入
消費税が10%に引き上げられてから、ひと月がたった。列島を襲った台風の影響が大きすぎ、増税の景気への影響を推し量ることはまだ難しい。災害に備えて、水やカップ麺、乾電池などを慌てて購入した人も多かったに違いない。これほど広範囲の被害が出たことを考えると、被災地の状況を配慮して、せめて今年いっぱいは増税を再凍結してもいいのではないかと思うが、上がったものは下げられないらしい。残念なことだ。
話を戻そう。消費税率の引き上げに際し、政府は景気の落ち込み対策として、軽減税率やキャッシュレス決済時のポイント還元、プレミアム付き商品券などの諸手を打った。そのせいもあったのか、2014年の8%への引き上げ直前ほどの駆け込み需要は起きていないとの報道もあったが、ふたを開けてみるとやはりティッシュペーパーや紙おむつなどの日用品、軽減税率の対象から外れた酒類などが、増税直前にかなり買われたという。
日経新聞10月6日付朝刊の記事によれば、前年同期比でビールは10~42%、日本酒は23%、ウイスキー・ブランデー類が62~74%増だったとか。税率10%とはいえ、実際には2%アップするだけなのだが、やはり値上がりのイメージが強いのだろう。筆者も手持ちのポイントを使ってワインをまとめ購入したので人様のことは言えないのだが、ひとつ気になることがある。「酒類の駆け込み購入は、果たして正しかったのか」という点だ。
2014年の増税時を引き合いに出してよく語られることだが、「買いたい客がいるときは価格は安くはならない」ものだ。ビジネスパーソンの皆さんなら、需給バランスについては説明の必要もないだろう。2014年3月には車や家電、日用品などありとあらゆる品に人々が群がったが、日用品の価格を見る限り、普段の特売よりも高値ではないかと感じるものが多かった。一方、増税後には消費が落ち込み、それをカバーするために販売店は値下げセールを頻発もした。
その理屈で言えば、消費増税前の酒類の駆け込み購入という行動は、本当に正解だったのだろうか。これは気になるところだ。