また、“食事は薬”など、知識として考え、実際にやってみて良いと実感することで「智慧」になるといいます。そして、この智慧に一番の価値がある、というのが禅の考えです。

 島津さんはこうしたことを意識するようになり、独立してからの7年間、微熱が1回あった程度で、ほとんど体調を崩さなくなったと話します。

仕事人間の人生を変えた
家族の言葉

 島津さんの場合、“食べ方”以外にも変わったのが、“食べる場所”。以前は会食が多かったそうですが、今は夜もほとんど家で食事をするといいます。

「会食をするときは、ランチでお願いしています。50代も半ばになり、やはり夜にお酒を飲んだりすると仕事のクオリティーが落ちるのがわかります」

 出家得度をしたときの戒律で、「お酒は飲んでもいいが、飲みすぎてはいけない」と決まっていることもあり、以前は週5日飲んでいたお酒も、今は家では一滴も飲まないのだそうです。

「家での食事にはかないません。愛情も入っているし、体調も整う気がします」

 料理をしている奥さまが、以下のようなことに気をつけてくれているのだと、メモを見せてくださいました。

・具だくさんのおみそ汁
・酢のものにはふのりと寒天をいれる
・家庭菜園の無農薬野菜を使う
・マグロのお刺し身を週2〜3で取る

「ちゃんと家族と食事をとるようになって、昔より、今の方が仲は良いですね」と話す島津さん。かつては家族との時間をあまり持てていなかったといいます。

「東日本大震災で住んでいた家が被災して、傾いた家に半年近く住んでいたのです」

 当時、島津さんは上場企業の社長というポジションにありました。仕事人間で、帰宅はいつも深夜。家族との会話の時間もほとんどなかったといいます。そんなときに、震災が起こりました。