利上げ再開の条件
持続的・顕著がキーワード

 またFRBのパウエル議長は、FOMC後に行われた記者会見で、「インフレ懸念に対処するため利上げを検討するには、インフレ率が持続的な形で顕著に上昇するのを実際に目にする必要があるだろう」と述べ、利上げ再開には、インフレ率が持続的かつ顕著に上昇している、という条件をつけた。

 リーマンショック後の景気回復は戦後最長となり、失業率は半世紀ぶりの低水準となるなど、需給は様々な面で逼迫してきた。しかし、インフレ率は目立った上昇を見せておらず、FRBの目標(個人消費デフレーターで2%程度)は十分にクリアされてこなかった。

 一方、足元の米景気は製造業部門での減速傾向が続いており、当面インフレ率が“持続的に”、“顕著に”上昇するとは考えにくい。こうした点を勘案すれば、仮に景気が再加速に転じたとしても、かなりの期間、利上げが再開されることはないだろうと考えられる。

利下げを市場が催促すれば
ドル安・株安の展開

 こうしたFRBの考え、行動に対し、市場はどのように反応するのだろうか。まず利下げに関しては、今後も世界情勢や経済指標次第では、利下げ期待が強まる局面が訪れるだろう。

 製造業部門の減速については、生産活動の先行指標となる受注や出荷在庫バランス(出荷の伸びから在庫の伸びを引いたもの)が改善しておらず、しばらくは減速傾向が続く可能性が大きい。ISM製造業雇用判断DIなどをみると、製造業では雇用削減の圧力が高まりつつあることがうかがわれ、これが実際に製造業部門の雇用の減少という形で顕在化し始めている。

 雇用減少の動きが製造業以外の業種にも広がり、雇用全体に陰りが見えてくれば、その後は消費にマイナスの影響が及ぶリスクも出てくる。そうしたことを匂わせる指標が目立ってくれば、市場では追加の利下げを催促するような動きが強まろう。具体的には、長期ゾーンを中心に債券利回りが低下し、再び長短金利の逆転(逆イールド)が発生するリスクがある。

 為替市場ではドル安圧力が高まろう。特に、対円ではドル安円高の動きが強まる可能性が高い。最も利下げを催促する動きが強く出るのは株式市場だろう。当面は利下げをせずに様子を見守るというFRBの見方が間違っているとの疑念が市場で高まれば、株をはじめとしたリスク性資産価格には強い調整圧力が生じる。