それでも「委縮はしていない」
ファンド運営の方針に変更なし

 孫社長によると、最大の反省は、ウィー創業者のアダム・ニューマン氏に権限が集中しすぎていた企業統治(コーポレートガバナンス)の問題を見抜けなかったことだという。これでウィーの経営の実態を正確に把握しきれなかったようだ。

 これまで孫社長は、経営者の人物を評価して投資するスタイルが強かったが、今後はフリーキャッシュフローを重視して投資する。さらに、創業者のガバナンスについて、「しっかりした基準を設けて評価していく」(孫社長)という方針も掲げた。

 だが、こうした反省の弁を繰り返す孫社長も「委縮しているわけではない」のが本音だ。実際には、ウィーの損失がSBGの財務を揺るがすほどの衝撃になったわけではない。

 すでに10兆円規模のビジョン・ファンドの累計投資額は8.2兆円。これまでに1.2兆円の利益を計上しているが、孫社長によると37社の投資先が合計1.8兆円の利益を生み出した一方で、評価減で損失を計上したのは22社で6000億円に過ぎないという。

 つまり、ウィーの損失は数ある投資先の失敗の1つに過ぎず、ビジョン・ファンド全体の成績は好調だということを指摘するのを忘れなかった。

「決算はボロボロだが、大勢には異常なし」と孫社長。中間期の営業利益を吹き飛ばす損失を計上しながら、ビジョン・ファンドの投資の方針を変更しない考えも最後に強調した。

 ビジョン・ファンドは投資先が88社にのぼり、9月末までに投資額が最大に達した。予定通りに2号ファンドを立ち上げる方針だ。