東京での五輪開催は
かなりのリスクを秘めている

 9ヵ月後の東京で、何か不測の事態が起きた時に、この「東京都は、当初の計画通りに都内でマラソン・競歩開催が正しいと一歩も引かなかった」というスタンスが、時限爆弾のように大きなリスクを引き起こす恐れがあるからだ。

 前回の「五輪マラソン札幌移転は当然、カジノ誘致にも自然をナメたツケがくる」という記事の中でも紹介したが、東京都が完璧ですと胸を張っていた「暑さ対策」には、専門家や医療関係者からその効果が疑わしいと指摘されていた。実際、今年の同時期に行われたテスト大会でも、東京の凄まじい暑さで体調を崩したアスリートもいた。また、この時期の都内では熱中症で亡くなる人も多くいるので、世界中から訪れる観客がバタバタ倒れる危険性も指摘されている。

 つまり、あと9ヵ月後に控える東京2020は、「アスリートが競技中に救急車で緊急搬送」「観客席で応援をしていた外国人が熱中症で死亡」なんてことが起きかねない、かなりリスキーな国際イベントだということだ。

 もちろん、このような悲劇が起きてしまった時、まず真っ先に吊し上げられるのはIOCだが、当然、開催都市である東京都も無傷では済まない。暑さでやられたのが選手ならば、「暑いのは最初にわかっているのだから、それに備えてくるのが一流のアスリートだろ」なんて逆ギレしてしのげるかもしれないが、これが一般の観客なら通用しない。小さな子供などが暑さで犠牲になって、高校野球のような根性論を振りかざしたら世界から「クレイジー」と驚かれるはずだ。

 こういうリスクを抱えるイベントの開催都市首長は、かなり慎重なもの言いをしなければいけないことは言うまでもない。少なくとも、「熱中症で選手や観客がバタバタ倒れる」というリスクを回避して、「少しでも涼しい地域への変更」という安全策をとった人々をコキ下ろすというのは、自分で自分のクビを絞めるようなものだというのは明白だ。