IOCに噛み付いた真意は
来年の都知事選対策か

 確かに、東京都としては納得がいかない。しかし、IOCがアスリートや選手の安全を考えて決断したのならばそこは同意する。残念ではあるが、オリンピックの決定権はIOCにあるので、前を向いて札幌開催を応援したい――。

 こんな感じのポジティブなメッセージを出しておけば、リスクはかなり軽減する。もちろん、東京でアスリートや選手の熱中症が発生すれば当然、大きな問題になる。が、今のように「東京の暑さ対策は完璧です!」なんて感じで自らハードルを上げていたわけではないので、少なくとも小池氏個人が「犯人」のように吊るし上げられることはないだろう。また、札幌開催を容認したので、マラソンや競歩の選手たちがメダルラッシュになった時、東京都としても心から喜ぶことができる。

 ただ、こんなことはもちろん小池氏はわかっていたはずだ。わかっていたけれど、あえてあの場所で「合意なき決断」とぶちまけて、IOCに喧嘩を売るようなスタンスを見せたのだ。

 なぜか。これは勝手な筆者の「妄想」だが、来年に控えた都知事選へ向けたセルフブランディングではないか。

 小池氏といえば、新党を結成した国政進出、五輪競技場問題、豊洲市場問題などを思い返していただければわかるように、マスコミを用いた「情報戦」を得意としている政治家である。報道対策アドバイザーとして、政治家のマスコミ対応にも関わった立場から言わせていただくと、小池氏はセルフブランディングに非常に長けているという印象だ。

 キャスター出身らしく、マスコミ受けしそうなキャッチーな言葉を駆使して、有権者にわかりやすい「敵」を示す。そして、そこに立ち向かうという姿を見せることで、「既得権益と戦う女」というブランディングに成功してきたのだ。