ある日、ベテラン社員Bよりも一回り以上若い社員Aが、突然上司となった。この抜擢人事は社長のある考えがあってのことだった。だが、そんなことを知る由もないBは納得がいかず、Aに対して無視や嫌がらせなどのパワハラ行為を繰り返すようになる。ついにAは体調を崩して入院することに…。(社会保険労務士 木村政美)
従業員数200名。地方都市で大規模なホテルを経営している。
<登場人物>
A:28歳。入社後営業課に所属。前任者の退職で今年4月から部下30名のホール担当課長となる。
B:45歳。ホール担当主任。20年間現職で業務に精通しているため、部下には多大な影響力を持つ。プライドが高く、自分が中心でないと気が済まない。
C社長:50歳。社長。
D社労士:甲社の顧問社労士
「Bさん、ホールの仕事は未経験なのでいろいろ教えてください」
4月上旬、A課長は朝礼での着任挨拶後、B主任に近寄り笑顔で言った。
「はあ…どうも」
B主任はぶぜんとした表情で答えたが、心中はA課長への怒りで燃えていた。
「『Bさん』だと?気安く呼びやがって早くも課長面か!まったく生意気なやつだ。見てろよ。これからボコボコにしてやる」