顧客側にとっては悪夢
金融機関の「ワンストップ・サービス」

 銀行と証券会社の接近は、最近の地銀と証券会社の業務提携以前からある。例えば、メガバンクの系列証券会社だ。

 近年、同じ金融グループの銀行・証券・信託銀行が一体となって顧客に対する営業に当たるケースが増えている。顧客の個人情報は勝手にグループ会社に渡せないので、「サービスの充実を図るために、系列の証券会社、信託銀行などとあなたのデータを共有することに同意してほしい」というような趣旨の文書に、同意の署名捺印を顧客が求められることがしばしばある。

 率直にいうと、この種の申し出には、絶対に同意しない方がいい。銀行・証券・信託銀行のそれぞれから、寄ってたかって営業のターゲットにされるだけだからだ。「サービスの可能性が増えるだけだから、損はあるまい」と思うのは全く甘い。

 今年の夏に大いに話題になった通称「老後2000万円報告書」にも、「ワンストップ・サービス」の充実が期待されるといった趣旨の記述があったが、ワンストップが素晴らしいと思うのは供給者側の論理にすぎない(金融機関側では本気でそう思っているのだろう)。

 金融のワンストップ・サービスを顧客側から見ると、確かに一箇所でもろもろの金融ショッピングの用事が済むのは便利なのかもしれないが、そのショッピングはいかにも高く付く。医療の世界でいうと、セカンドオピニオンから遮断された状態に近い。ショッピングに例えると、家電製品や食材に至るまでを一軒の百貨店内で済ませるような買い物に近い。

 こと金融に関しては、「ワンストップ・ショップ」は悪夢である。

 顧客は、銀行と証券を別々に使い分ける方がいい。