OODAループはアメリカ軍で世界の兵法や戦略理論を研究した成果をもとに開発され、シリコンバレーの起業家を中心に、アメリカのビジネスエリートに活用されるようになった思考法です。変化の激しい時代に速く的確に行動するために必要な知的技術と言えます。OODAループ第一人者の戦略コンサルタントが、日本人のためにわかりやすく、実践しやすいマニュアルとして解説したのが、『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』です。本書のウェブ版である本連載ではポイントだけを、よりコンパクトに紹介します。

「物事の完璧な理解」ができない世界で、凡人にもできることPhoto: Adobe Stock

良い世界観、悪い世界観

OODAループ思考で速くて、的確な判断と行動をするために欠かせないのが「世界観」です。

世界観などと言うと、何か高尚なものでなければいけないように感じるかもしれませんが、けっしてそうではありません。ただし、1つだけ欠かせないことがあります。

それは、OODAループのバックボーンである世界観には、その人なりの夢や理想が込められている必要がある、ということです。

OODAループは、行きたい場所やかなえたい夢に向かって、ぶれることなく一直線に進むための思考法です。そのときに軸となるのが世界観で、この軸が太く、長くて強いほど、迷わずに素早く行動に移せます。

身近なことで世界観について例をあげましょう。ある友人の話です。気になる女性を誘って、彼にとっては高級なレストランに出かけました。

慇懃なサービスに迎え入れられた店内は薄暗く、敷き詰められたふかふかの絨毯に足を取られそうです。銀の食器がズラリと並ぶテーブルに着くと、分厚いメニューを手渡され、目を通す間もなく「本日のおすすめ」の説明が始まりました。

20歳そこそこの男が、これで圧倒されないわけがありません。結局「その場をスマートに乗り切る」ことだけに集中した彼は、せっかくの食事や彼女との会話を十分に楽しむことができませんでした。