40代以上はお酒の文化に触れ、慣れ親しんできた世代でもある。たとえば多感な10代の頃、流行したトレンディードラマには、夜な夜なバーに集まり、恋愛ゲームを繰り広げる都会の男女の姿が描かれた。

「テレビCMでも人気女優がビールを飲み干す姿が繰り返し放映され、『かっこいい』と話題になったものです。その後、広告、宣伝の自主規制が厳しくなり、テレビCMの飲酒シーンは放映されなくなっていきました」

 なお、「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」によると、現在、テレビ広告では飲酒シーンのみならず、注いだり、匂いを嗅いだりするシーンも禁止されている。また5時~18時までは、酒類のテレビ広告そのものがNG。放送していいのは企業広告やマナー広告のみだ。

 40代は部下と上司の板挟みになったり、子育て、介護など家庭のストレスを背負ったりと悩み多き時期。だが、女性は肝臓が小さいうえ、女性ホルモンによりアルコールの代謝が抑制されがちだ。男性よりアルコール依存症に陥りやすいため、注意が必要である。

やめられないなら減らせばいい?
新薬登場で変わる治療

 とはいっても、「いきなりお酒をやめるなんてムリ…」という人も多いだろう。梅野氏は、「断酒できない場合、今後は“減酒治療”することも可能になる」と説明する。

「昔は、アルコール依存症の治療とは“断酒させること”でした。ですから、スタッフに隠れて飲み続ける入院患者さんは『お酒をやめる気がないのなら帰ってください』と退院させていたのです。その結果、お酒がやめられず家庭崩壊してしまうなど、悲劇が絶えませんでした。

 ところが新しい薬が次々に登場したことで、治療のありかたそのものが変わっていきました。以前は抗酒剤といって、アルコールを分解する肝臓の働きをブロックし、頭痛や吐き気などの不快感を与え、お酒をやめさせる薬しかなかった。やがて、飲酒欲求を抑える断酒補助薬が誕生。さらに、今年3月、減酒薬のセリンクロ(一般名:ナルメフェン)が発売されました。お酒を飲む前に服用すると飲酒欲求を抑えられ、かつ減酒にともなうストレスを緩和させるというものです」
 
 2019年11月現在、国の方針で処方に規制がかけられているセリンクロだが、今後普及すれば、「アルコール依存症が怖いから、薬でお酒を減らそうか」という人が増えるだろう。治療のハードルは一気に低いものになりそうだ。

「薬を飲まなくても普段の生活を変えるだけで、減酒への一歩が踏み出せるかもしれない。おすすめは趣味を見つけ、行動のレパートリーを増やすこと。『お酒しか楽しみがない』ではなく、『お酒も楽しいが、ほかにも楽しいことがある』状態に自分を持っていくのです」と梅野氏。

 責任感が強く、仕事一途で生きてきた人ほど遊んだり楽しんだりすることに、罪悪感を抱いてしまいがちだ。まずはそんな自分を見つめ直し、お酒との付き合い方を変えていってはどうだろうか。