中国政府は香港の法律の違憲性について、判断する唯一の権限を有していると宣言し、香港の司法の独立性に挑戦する姿勢を示した。香港政府が制定した「覆面禁止法」は違憲との香港裁判所の判断に対し、中国政府がこうした立場を表明したことで、法の執行にただちに影響が生じるわけではない。だが、外資系企業や海外投資家を誘致する上で柱となる「強力な法の秩序と独立した司法制度」という香港のイメージを犠牲にしてまで、中国政府が政治危機の収束を優先し、介入を図ろうとしている兆候との見方が出ている。香港基本法では、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会に基本法を解釈する権限を付与しているが、常務委が実際にその権限を行使した事例はこれまでごくわずかしかない。