視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。
「プレミアムフライデー」は
なぜ浸透しなかったのか
読者諸兄の会社は「プレミアムフライデー」を導入しているだろうか。
プレミアムフライデーとは、2017年から経済産業省が経団連などと連携して推進している、働き方改革と消費の拡大の一挙両得を狙った施策だ。
企業には毎月末の金曜日は15時の終業を推奨。街の商店や飲食店には、その時間に合わせたイベントやセール、特別キャンペーンなどを促す。
だが、この施策は、ご存じのように当初からつまずいた。月末金曜日は月次の締め日で忙しく、早い時間に終業するなどそもそも不可能、導入しづらい職種もあり不公平、といった声も上がり、期待した通りには浸透しなかった。
実際、2019年2月にプレミアムフライデー推進協議会が発表した調査結果では、プレミアムフライデーに通常より早く退社できた人は、調査を実施した全17回の平均で11.3%にとどまった。
まもなく開始から3年が過ぎようとしている。「まだやっていたの?」と驚く人も少なくないのではないだろうか。
だが、月末の金曜日どころではなく、毎日の終業時間を早め、年間にして1カ月分の労働時間短縮に成功した大企業がある。味の素である。