ミュージカル女優としてデビュー4年、小南満佑子(こみなみ・まゆこ)は着実に大きな舞台で実績を積んできた。主演クラスの役が続き、キャリアはベテランの風情だが、まだ23歳だ。4歳のころからショービジネスの世界をめざしていたという。ミュージカルの大舞台を目標として周到に準備して階段を上がり、クラシックの声楽を並行して学んでいるミュージカルスターに注目したい。(ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)

日本語ミュージカルを
パリで上演する

小南満佑子(こみなみ・まゆこ)さん
小南満佑子

 11月29日から12月10日まで、ヒューリックホール東京で上演される新作のミュージカルがある。この作品にも小南満佑子が出演する。作品の題名は「イノサンmusicale」という。Musicaleはフランス語の「ミュージカル」、「イノサン」もフランス語で、英語でいえばイノセントだ。

 脚本(作詞)・横内謙介、演出・宮本亞門、作曲・深沢桂子という日本の代表的なクリエイターたちによる新作である。原作のコミックは、坂本眞一による『イノサン』と続編の『イノサンRouge』(集英社)だ。チケットはすでに売り切れているという。

 舞台はフランス革命前後のパリ。歴史上名高い世襲処刑人一家の4代目に当たる兄妹、シャルル-アンリ・サンソンとマリー-ジョセフ・サンソンの視点から虚実を自在に往復して描いた原作は、世界史の転換点をめぐる凄絶な物語となっている。

 基本的な人物や事件は史実どおりで、結末はわかっているのだが、美麗で耽美的で写実的な画風はきわめて魅力的で、私は雑誌連載で6年間読み続けている(現在の連載誌は「グランドジャンプ」集英社)。

 ミュージカル版のシャルル役は古屋敬多、マリー役は歌手の中島美嘉が演じる。小南満佑子はハプスブルク家からフランス王家へ嫁いだマリー-アントワネット役だ。

「イノサン」をミュージカル化するというニュースを聞いたとき、あの処刑人一族の陰惨な物語をミュージカルにするというアイデアに驚いたが、残酷にして艶麗なあの絵を元にして発想した舞台は壮麗な作品になるだろうと予測もできる。

 さらに、もっと驚いたことに、2020年2月9日にパリ公演を催すという。日本人による日本語のミュージカルをパリで上演するわけだ。しかも舞台の設定はフランス革命のパリである。素晴らしい挑戦だ。