政治が動き出した伏線は、13日に行われた「国土強靱化」を推進する党所属議員と経済界との会合での、二階俊博自民党幹事長の発言だ。

 二階氏は、公共事業費の増大を警戒する財務省に対して「財務省に政治をやってもらっているんじゃない。ケンカしなきゃいかんところはケンカする」と、予算確保に強い決意を示した。

 国土強靭化といえば、運輸大臣を務めた二階氏の肝いりの事業だが、財務省は積極財政に消極的なところがあり、国土交通省も財務省に従い「恭順の意」を示してきた。

渡辺議員の質問が“引き金”
「4%割引率は高過ぎる」

 状況を一変させることになったのが、渡辺喜美議員(みんなの党)の11月7日の参議院財政金融委員会での質問だ。

 渡辺議員は、かつてみんなの党代表として、政界のキャスティングボートを握っていたが、党内紛によって政治的にはかつてのパワーはない。しかし、20年ほど前には「政策新人類」といわれたように、政策にはめっぽう明るい政策通だ。

 この時の質疑は、前回(2019年11月14日付け)の本コラム「公共投資拡充はMMTよりも『4%割引率』の見直しが早道」でも紹介したが、渡辺議員は、麻生財務相に今のマイナス金利環境を活用しゼロ金利まで国債を無制限発行したらどうかと迫った。

 麻生財務相、「意見として聞いておく」と答えたが、そう発言せざるを得なかったのは、ロジカルには渡辺議員の意見を否定できないけれど、勘弁してくれというものだろう。

 渡辺議員は、国交省に対しても、公共事業の採択基準のB/C(費用便益分析)について、国債発行金利などのコスト(C)算定の際、将来のコストを現在価値に直す割引率が4%で維持されていることについて、今のマイナス金利の状況では高すぎる点を指摘した。

 それに対して、国交省の担当者は15年ほど見直していないが、有識者で議論すると言わざるを得なかった。国交省は割引率4%が高すぎると、事実上、認めたということだ。

 前回の本コラムで書いたように、割引率4%は今の金利環境では高すぎて、日本の公共投資を過小にしてきた。まともに見直すと、採択可能な公共事業は今の3倍以上になるだろう。

 ということは、ここ数年間、発行額が6兆円程度で推移してきた建設国債は、20兆円以上も発行できることを意味する。