「この度、『人生会議』の普及・啓発のため、PRポスターを公開したところですが、患者団体の方々等から、患者や遺族を傷つける内容であるといったご意見を頂戴しております。厚生労働省としましては、こうしたご意見を真摯に受け止め、掲載を停止させていただき、改めて、普及・啓発の進め方を検討させていただきます」

がん患者を取り上げたポスターだと
読み取ることはできるか

 このポスターの何がどう問題だったのかを、検証してみたいと思います。最初のきっかけは、11月25日にがん患者やその家族への支援を行っている団体「スマイリー」の代表が、厚生労働省に抗議の文書を送付したことのようです。

 公表されている抗議文によれば、「『がん=死』を連想させるようなデザインだけでもナンセンスだと思います」としたうえで、「これを目にする治療に苦慮する患者さんや残された時間がそう長くないと感じている患者さんの気持ちを考えましたか?そしてもっと患者と話をすれば良かったと深い悲しみにあるご遺族のお気持ちを考えましたか?」「医療の啓発をするのにその当事者や患者の心情を配慮しないなんてことがあってはならないと強い憤りを感じています」と、このポスターの表現について強く再考を求めています。そして厚生労働省が再考をした結果、このポスターを使わないことに決めたというのが、現時点における最新のニュースです。

 日ごろから真摯にがん患者やその家族の支援をしている団体のトップが、このような憤りを感じることは自然だと思います。実は私も昨年、家族をがんでなくしています。「生きているうちに、もっとああしておけばよかったな」といった後悔はありますし、今回の騒動で改めてそのことを思い出して、少し悲しくなったのも事実です。

 ただ、どうなのでしょうか。このポスターに関しては、私は正直、がん患者を取り上げた内容だと読み取ることはできませんでした。そもそも私が体験したがんによる身内の死は、ポスターのような状況ではありませんでした。告知があって本人が悩み、家族も悩み、話し合いも行い、おそらく本人が望む最良の治療を家族で考えて、最期を看取った。そのような体験でした。