企業のリーダーはもっとイノベーションが必要だと語るが、実際には自分自身や仲間を組織内に閉じ込め、「建物の中」でアイデアを飼い殺しの状態にする。これは創造的破壊と変化が進む世界においては危険なことだ。多様性を目指すと言いながら、あまりに多くの企業幹部がそれを従業員のタイプという意味に限定する。だがむしろ、広い世界に出て行き、多様なコミュニティーや業種の中でさまざまなアイデアをぶつけ合うことが刺激となる。企業幹部は新興企業の創業者を招き、型どおりの質問をするが、むしろ新興企業の環境に自ら出向き、幹部自身が全く新しい可能性に心を開くべきではないか。地位の確立した企業が新技術の導入になかなか踏み切れないのも不思議ではない。壁を壊すためにオフィスを改装し、部門間の交流を促すために無料の食事を提供するだけでは物足りない。その結果、外部の居心地の悪い環境にふらりと出て行く理由が減り、人々をますます社内に閉じ込めてしまう。