相続でお金持ちの落とし穴
相続をきっかけに金銭感覚が狂う人は少なくありません Photo:PIXTA

 これまで普通の生活を送っていたのに、突然、多額の現金や価値の高い不動産などを相続したことで、暮らしが一変してしまう人にお会いすることがときどきあります。相続だけではなく、贈与のケースもありますし、多額の生命保険金が入った人、はたまた何千万円以上といった高額宝くじに当たった人もいらっしゃいました。

「相続したものは使えばなくなるから、将来に備えよう」などと考えて行動できる堅実な人ももちろんいらっしゃいます。ですが、例えば不動産を相続して、毎月家賃収入などを得られるようになった人は、毎月の収入が増えたことにより、支出が多くなりすぎる傾向があります。

 そして、給料と家賃収入の両方を毎月得られるのが当たり前になり、それを使い切るような生活になって、そんな生活の仕方に慣れきったときに、家賃収入が途絶え、暮らしが立ち行かなくなる……。そんなケースも実は少なくありません。

 もちろん、そういったイレギュラーな収入には手を付けずに生活しようと決めて、しっかりと貯めている人もいますが、家計相談に来られる人の中では少数派です。

 膨らんでしまった支出を改善するためには、当たり前ですが、生活費のダウンサイジングをし、働いて得た収入の範囲で暮らして、貯蓄体質に変わらなければなりません。ただ、最初からきちんと収支の計画を立てて蓄えておけば、困ることなく将来のためにお金を回せただろうに、と残念に思ってしまいます。

父親から賃貸用不動産を相続
家賃収入を得て「ちょっとぜいたく」な生活に

 先日、家計相談にいらっしゃった会社員のJさん(43)も、相続をきっかけにお金の使い方が変わってしまった一人です。長く闘病していた父親が亡くなり、2軒の賃貸用の不動産を相続しました。母親は既に他界しており、一人っ子であったため、全てJさんが相続しました。

 相続は大変ありがたいものでしたが、実はJさん自身、数年前に住宅を購入し、住宅ローンを返済中です。ですから、この相続した不動産は売却したほうがよいのではないか、それとも今支払い中のマイホームを手放し、相続した物件に住むほうがよいのかなど迷いました。結論が出ないままでいましたが、相続関係の手続きが終わり、相続税の支払いも終わると、家賃という臨時収入が増え、暮らしが意外と楽になったと感じるようになりました。

 Jさんにはパート勤務の妻(44)と、長男(中2)、長女(小6)がいます。会社からの手取り収入は34万円ほどでしたから、住宅ローンの返済などをしていると、欲しいものをなかなか家族に買ってあげられず、我慢させることも多かったと感じていました。