独仏首脳の亀裂が深まり、両国を頼りにしてきた欧州主要政策の推進力が脅かされている。エマニュエル・マクロン仏大統領は欧州連合(EU)を米国と中国の間に立つ勢力とする大胆な考え方を提唱。だがその野心や混乱を招くやり方に、財政面でEU最大の貢献国であるドイツ、中でもアンゲラ・メルケル独首相はいい印象を抱いていない。欧州議会では12月1日に新体制が発足する。多くがマクロン氏の提案に沿った気候変動や技術革新、防衛、財政に関する計画を推進する上で、独仏の対立が支障となる可能性もある。メルケル氏は先日クロアチアを訪問した際、「既存の秩序を覆す必要はない」と発言。北大西洋条約機構(NATO)が「脳死状態」にあるとしたマクロン氏の見方をけん制した。一方で両国が見解をおおむね一致させている問題についても、考え方の相違が協力を難しくしているものもある。