そんなわけで、その日から、僕は彼女を避けるようにしている。
僕を抱き上げるのは、かわいがるためではなく、僕の愛情とエネルギーを奪おうとしているのだとわかったから。
僕は、僕のことを思いやってくれる人には惜しみなく愛情を与えるし、面倒をみてくれる人のことは自分の身を顧みずに癒し、守る。
けれど、他人がカラカラになるまで自分のブラックホールの中に吸い取るだけの「あいつ」には、何もあげるものはない。そうやって見限ったら次の人のところへ行くのが猫なのだ。
僕はステファンに、彼女について何度も注意を促した。
それ以来、新しい客がやってくると、ステファンは僕の態度を注意して見ているから、僕は物言わぬバロメーターのような役を担っているのだろう。
おかげでうちには気持ちのいい人ばかりが集まってくるようになり、他人を利用しようとする人や自己中心的な人はすっかり消え失せた。
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与える人は迎え入れてもいい。
奪い取るだけの人は決して
自分の空間に立ち入らせてはいけない。
自分も人から奪うことをせず、与えるよう心がけよう。