世界28の言語で翻訳された全仏ベストセラーシリーズ最新刊の日本語版『猫は気まぐれに幸せをくれる』が刊行されました。
寝たいだけ寝て、暇さえあれば物思いにふけり、嫌いな奴が来たら姿をくらませる。飼い主をたっぷり困らせたかと思うと、欲しいものがある時だけ従順なフリをして、実は猫のほうが飼い主を選んでいる……15年間、どんな時でもそばにいてくれた愛猫に教わった、もっと楽しく快適に生きる秘訣を『猫は気まぐれに幸せをくれる』から一部抜粋・再編集してお送りします。

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とことん分かち合う。あんなことも!

「猫を教育するのは難しいと言うが、そうでもない。
 うちの猫など二日で私を教育したのだから」
――ビル・ダナ(コメディアン、俳優)

 私はフランス第二の都市、リヨンを流れるソーヌ川に浮かぶクルーザーを住まいにしている。人とちょっと違ったオリジナリティーを尊ぶフランス人の需要も高く、船は不動産屋に行けば、マンションや一軒家と同じように売買されていて、普通は係留権とセットになっている。

 猫のジギーが気の向くまま出入りできるように、住まいにしている船のトイレとシャワー室の小窓はいつも少しだけ開けておいた。
 ところが、この開けっ放しの小窓は、すぐにジギーのおもちゃと化してしまった。

 その朝、私は誰もがするように便座の上に鎮座して用を足していた。
 すると、トイレの外からジギーが小窓に顔を突っ込んで、のぞき込んでいるので驚いた。
 私のやることなすこと、一つたりとて見逃すまいと注視しているのに思わず噴き出してしまう。

「君が猫砂をかいているところも、そうやって見られたいかい?」
「もちろん」とジギーが答えたような気がした。

 確かに今まで意識したわけではないが、船に引っ越してきた当初は特に船室の隅やソファーのクッションを汚されないように、ジギーがトイレで用を足せるように褒め、励ましてきた。
 ありのままに言うと、その時私はトイレットペーパーのロールを手にしていたのだ。ミイラ取りがミイラになってしまったというところか。