「炎上即撤回」が
マニュアル化している

 では、なぜこのような対応が増えているのか。

 一つには、SNS炎上の対策が「一般常識」になってきたことが大きい。毎日のように起きるSNS炎上を鎮火するもっとも簡単な方法は、原因となった投稿を削除することであるのは言うまでもない。そこに加えて、迅速な謝罪があればなおよしということで、この一連の流れは早ければ早い方がいいとされている。このような対応方針が、さまざまな組織を「クサいものにフタ」に走らせているのだ。

 事実、筆者は報道対策アドバイザーとして、さまざまな企業の危機管理研修のお手伝いをさせていただくことが多いが、近年はSNS担当のような方から以下のような趣旨の質問が増えてきている。

「炎上したらとにかく投稿を削除して謝罪すべきだと思いますが、どれくらいのスピード感でやれば問題ないいでしょうか」

 というような話を聞くと、「初動の重要さがよくわかっているじゃないか」と好意的に受け取る人も多いだろうが、筆者は逆に不安になる。

 神社の参拝のように作法が決まっている「謝罪会見」を見ればわかるように、日本の危機管理は基本、前例主義、マニュアル主義で成り立っている。要するに、よその組織がやったスタイルを自社にも当てはめて、「こういう問題が起きたら、こういう謝罪文を出せば大丈夫だろ」という「様式」を重んじる傾向があるのだ。

 ということはつまり、「炎上したら投稿を削除して謝罪」というSNS炎上の作法も、もともとそれが意味することと関係なく、形式的な部分だけが真似されて、「ゴチャゴチャいわれたらすぐに引っ込めて謝りゃいんだろ」という場当たり的な対応が「正解」だと勘違いされてしまう恐れがあるのだ。