とはいえ、稲田氏は「未婚の母」になることや事実婚を奨励しているというわけではない。

「多くの場合、理由があって1人で子どもを産んで育てておられるわけです。他のひとり親以上に困難な状況の中で子どもを産んで育てている人に対して、差別をするのはおかしいと思っております」(稲田氏)

 無条件に頷くわけにはいかない、と私は感じる。親がどのような結婚や育児を選んでも、子どもの育ちは平等に支えられるべきだと考えているからだ。

 ともあれ、未婚ひとり親の場合、児童扶養手当は「事実婚ならアウト」という制約もある。日本の法的な婚姻制度では、いわゆる「籍を入れる」という形態だけが「結婚」だ。しかし、なぜか児童扶養手当と生活保護制度だけは、事実婚を「結婚」としている。

「寡婦控除は、死別・離別の場合、事実婚していても対象になります。それなのに、どうして未婚のひとり親に寡婦控除を認めると、『事実婚を奨励する』などと言われるのでしょうか。すべてのシングルマザー、シングルファザーに対して、死別でも離別でも未婚でも、平等に公平に、同じ制度を適用すべきではないでしょうか」(稲田氏)

 12月4日の税調では、出席した10名以上の女性議員たちのほとんどが、そのような意見を述べた。反対意見は全くなく、男性議員から賛成の発言もあったということだ。

税制議論に参加したきっかけ
変わってきた自民党の空気感

 稲田氏が、ひとり親の税制の議論に問題意識を抱き、参加し始めたきっかけは、どのようなものだったのだろうか。

「昨年までは、議論に参加していなかったんですけど、報道を見て『おかしな話になっている』と感じました。伝統的家族観の是非ではなく、法のもとの平等に関する公平性と平等性の議論のはずです。なぜ、そこに家族観が出現するのでしょうか。疑問を抱いていました」(稲田氏)