外国人労働者の受け入れでは、
人手不足が解消しないほど進む少子化
入管法の改正で来年4月から5年の間に、35万人の外国人が14業種で新たに働くことになった。事実上の単純労働者の受け入れとなり、「人の開国」といえるだろう。技能実習生からの移行者は、最長10年間も日本で働くことができる。
これは、政府がどんなに否定しても「移民」とみていいだろう。しかし、果たしてこの人数で人手不足が解消するのだろうか。はなはだ疑問だ。
35万人の計画受け入れ総数のうち最も多いのは介護業界で6万人である。今、全国の居住系施設である特別養護老人ホーム、老人保健施設、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅を合わせた合計施設数は約3万3000。仮にひとつの施設で毎年1人の外国人の雇用を望めば、5年間で16万5000人を必要とする。最低限の要望だろう。6万人ではとても足りない。
働く外国人の総数を見ると、2017年時点で127万8614人に達している。5年前の2012年はわずか68万2431人だった。この5年間で既に、なんと60万人も増えている。先進諸国と比べても遜色ない流入だ。
増加者で最も多いのは約19万人増の留学生であり、技能実習生も約12万人増えている。いずれも、本来の正当な労働者ではない。それでも深刻な人手不足が続いている。この先35万人ぐらい増えても、とても充足できるはずはないだろう。
人手不足を解消するにはまずその原因をしっかり見極めることだ。目先の対症療法ではなく、抜本的な対応を考えねばならない。根本原因はなんといっても極端な出生数の減少による少子化だろう。
高齢化率が世界一に高まっているのは、高齢者が増えること以上に若年層の大幅減が主因だ。ということは、出生数の回復に全政策を傾注することこそが肝要だろう。
日本の少子化をさらに加速しかねない?
「日本の伝統的な家族観を壊してしまう」発言
では日本は今、どの程度、少子化が進んでいるのか。2017年の出生数は94万6000人。2年連続で100万人を下回った。減少傾向は変わらないだろう。44年前、1973年の出生数は209万2000人だった。その年から毎年どんどん減り続けている。40年経ったら生まれてくる赤ちゃんは半数になってしまった。