LINEがついに個人向けローンサービス「LINE Pocket Money」を開始した。従来型の信用情報に加え、LINE Scoreの信用度に基づいて借りられる金額が決まり、手続きもスマホ1台で完結するという。そのメリット、デメリット、今後の展望を信用スコアに詳しい関東学院大学の折田明子准教授に聞いた。(清談社 沼澤典史)
信用スコアは
ポイントカードの発展形
近年、メディアに文字が躍ることが多い「信用スコア」というワード。アメリカや中国などでは広く浸透しているが、日本ではまだそこまで浸透しているわけではない。
今回、LINEが独自の信用スコアに基づく個人向けローンサービスを開始したことで、スマホを持つ人の多くがその存在を知ったことだろう。そんな人のために、まずは予備知識として信用スコアと従来の信用システムとの違いを紹介していこう。
従来は、年齢、性別、住所(持ち家か否か)、職業、年収といった、その人物の属性に加え、信用情報機関が有する信用情報(借入残高や返済状況など)を踏まえて与信を判断していた。しかし、この従来型モデルでは、フリーランスというだけでローンの契約ができないなどの課題も多くあった。
「LINE Pocket Money」でも、信用情報とみずほ銀行やオリエントコーポレーション(オリコ)の与信審査ノウハウが用いられる。しかし、独自の「信用スコア」も合わせて用いることで、その人の信用をより多面的に測ることが可能になるという。
「信用スコアは『ポイントカード』の発展形だと捉えています。ポイントカードは自分の属性を登録し、買い物のたびに提示することで購買履歴を提供します。それらのデータから、カスタマイズされたクーポンや広告が配信され、さらに提示する(=データを提供する)ことでポイントがたまるわけです。信用スコアも、各種の質問への回答やサービスの利用状況から、その人物のスコアが計算され、それに応じた待遇を受けられるという意味で同様の方向だと考えられます。これに決済サービスが組み合わさることで、資産や消費行動も併せてスコア化ができるのです」(折田氏、以下同)
日本で先駆けとなったのは、2017年に開始されたみずほ銀行とソフトバンクによる「J Score」。これは先の「LINE Pocket Money」と同じく、個人融資がメインのサービスだ。一方、先日LINEと経営統合が決まったヤフーが提供する「Yahoo!スコア」は、融資目的ではなくサービス向上ならびに連携サービスへのスコア提供という活用方法だ。
このほか、ドコモやメルカリも独自の信用スコアをスタートさせるなど、今後も活発に利用されることが予想されている。