「ONE TEAMは、世界に広がりつつある排外的な空気に対する明確なカウンターメッセージであるとともに、近い将来、移民を受け入れざるを得ない日本のあり方を示唆するものとなった。それは安倍総理にもしっかりと伝わったと信じたい」

 おや、何やらきな臭い。いきなり放り込まれてきた“政治臭”は意外だったが、それゆえに興味深く思われた。新語・流行語大賞の実態をつかむヒントとなりえるかもしれない。

 それにしてもクエスチョンマークの連続である。

「排外的な空気に対する明確なカウンターメッセージ」と言われ、「そこまで意味深に『ONE TEAM』を読み解いている人はいたのかな……」と思っていると、移民がどうこうと言い始め、こちらの脳が追い付かないうちに急に、「どうだ!」といわんばかりに安倍総理が出てきて締めくくられるのである。

 これは、断言する。興ざめである。

 個人の政治的思想は自由であり、それをどうこう言うつもりは筆者に毛頭ない。ただ一点、一種の“お祭り騒ぎ”である(少なくとも筆者はそう捉えていた)新語・流行語大賞において、唐突に評者(あるいは選考委員か)自身の政治的思想を入れ込んでくるその脈絡のなさ、これがいただけない。

 ニュースや新聞が政治的偏向に基づいて報道を行うことがあるが、「新語・流行語大賞」はお祭りのていを装っている分たちがよろしくない。2007年のノミネート語に「KY(空気が読めない)」が挙がったが、この評者にとって空気とは“読もうとするもの”ではまったくなく、“どんな色であろうと関係なく自分色に染め上げていくもの”のようである。

 しかしまだこの時点で、筆者は希望を抱いていた。まさか新語・流行語大賞のようなエンターテインメント寄りのイベントが私物化され歪められているはずはない。ひょっとしたら「ONE TEAM」のコメントだけ妙な具合になってしまったのかもしれない。

 または、平素より筆者は政治の匂いをさせない記事を作成するよう気をつけているので、その辺りがたたって神経質になり過ぎてあのコメントに過剰反応してしまっただけかもしれない。

 そこで他のトップテン授賞語のコメントも読み進めていった。

 政治的思想の匂いはそこかしこにちょいちょい挟まれていて、筆者の勘違いでないことがわかった。コメントを読み進めていくと、いかにも知識人が鼻で笑っているかのような皮肉めいた表現まで口腔内に侵入した魚の小骨のごとき違和感を放って感じられる。

 コメントに対して「いいぞ! もっと言ってやれ!」と思えなかったのは、ひとえに、そこが政治的意見が主張される場としてどうしてもそぐわない気がしたからである。

“ずれている”流行語大賞
その真の理由

 その後さらに「新語・流行語大賞」について調べるうちに、どうやらこの賞は過去から政治的偏向があるとして度々問題になってきたことがわかった。そのことを知らなかったのは筆者の勉強不足以外のなにものでもない。

 そして、ここで全ての点がつながって線となった。

 新語・流行語大賞が毎回いつも世相の本当の流行りと若干ずれている真の理由、それは、「選考委員か主催者のどちらかは知らないが、端から政治的思想バリバリの人らが選定を行っているため、結果を世相に寄せるつもりがそもそもない」――であった。