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レビュー

『苦手な人を思い通りに動かす』書影
『苦手な人を思い通りに動かす』 グレッチェン・ルービン著 花塚恵訳 日経BP社刊 1760円(税込)

 人間関係において、相手の思考や行動に共感でき、スムーズにコミュニケーションができる人というと、何人か顔が浮かぶだろう。その一方で、相手の思考が理解できず、そりが合わない人もいるだろう。たとえば、優秀だが融通の利かない「堅物タイプ」、いわれたことしかやらない「指示待ちタイプ」などだ。コミュニケーションの断絶や対立が顕著になると、ときに理解し合えない他者を弾圧することもあれば、争いに発展することもしばしばだ。

 そもそも人間には様々な傾向を持つタイプがいる。自分とは異なる傾向について理解を深め、それに合わせて接することで、対人関係は円滑に進み、格段に楽になるはずだ。

 本書『苦手な人を思い通りに動かす』は、「基本的には傾向は生まれながらにして違う」という前提のもと、4つの傾向と、その傾向を持つ人とうまく付き合うためのポイントを解説した一冊だ。各タイプの特徴が具体的に解説されているため、「こういう場面では、こんな風にあの人は考えていたのか!」と合点がいく。さらには、彼らにどう歩み寄り、動いてもらうかに関するアドバイスは、職場や家庭などですぐ実践できるものが多い。

 周囲の人のタイプを推測しながら、著者のアドバイスを適用していくと、不毛な対立が減り、人間関係のストレスから解放されるのではないだろうか。人間の本質を理解する有用なフレームワークを手に入れられる一冊だ。(松田義人)