スランプに陥る前の僕も、自分が得たゲームの最新情報を人に教えることは、デメリットの方が大きいと思っていましたし、オンラインにこもって対戦会には行かない時期が長く続きました。

 でも今は、考えが完全に変わりました。共有することで、自分にも相手にもメリットがあり、結果的に「情報を共有していない集団」に対しては、はっきり有利になっていくのです。どんな天才も、たった一人で思いつけるアイデアの数には限りがあります。寄ってたかって皆で考えた方が、効率がいいことは明らかです。

 事実、僕が普段一緒に練習しているメンバーは、年間を通じて行われるプロツアーの大会ベスト8に必ずといっていいほど入っています。それも一人ではありません。ときには過半数を占めることもあるのです。

相手の何気ない感想が新しい発見のきっかけになる

 実際に自分が考えたアイデアを試してみると、思ったとおりうまくいくなんてことはほとんどありません。まるで見当違いな結果になったり、簡単に対応されてしまうことは日常茶飯事です。そうやって自分の浅はかな考えにダメ出しをされるわけですが、僕はそのダメ出しこそが「宝の山」だと思っています。対戦相手の何気ない感想やアドバイスが、新しい発見のきっかけになることもよくあります。