「麻布→東大卒」でありながら「プロゲーマー」という経歴が、世間の話題となったときどさん。しかし順風満帆だった彼のプロゲーマー人生は、ゲーマー20年目の2013年ごろに壁にぶつかった。格闘ゲームのeスポーツ化による環境の変化によって、全く勝てなくなったのだ。
2冊目の著書『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』では、そのV字回復の軌跡を紹介しながら、ときどさんが毎日やっている「努力のやり方」を紹介している。「圧倒的に変化が激しい」eスポーツの世界で戦うために、必要なこととは何か。ビジネスマンにも役立つエッセンスを語ってもらった。

「好きなことだけやれ」という人が必ず見落とす盲点 Photo: Adobe Stock

世の中には「グレーなこと」がたくさんある

 僕は、『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』のなかで「違和感があるならやらないほうがいい」という主張をしています。僕自身が何の考えもなしに東大の大学院に進んで、大きな挫折を味わった苦い経験があるからです。

 やりたいことをやる。違和感があるならやらない。これを徹底できれば人生は白黒 ついてシンプルです。しかし、実際は、「グレーなこと」が9割ではないでしょうか。

 日々の仕事、生活の中では「好きではないが、やらないといけないこと」が、誰にでもあるはずです。僕はこれらの「グレーなこと」=「義務」に対してもしっかり受け入れることが大事だと思っています。言い方を変えると、やるかやらないかを「自分で決める」のです。実際には拒否できない義務だったとしても「やると、自分で決める」。すると、嫌々対応していたときには出てこなかった工夫や楽しみを見つけることができるのです。