若手から感じる「失敗できない」というプレッシャー
eスポーツの隆盛により、最近は格闘ゲームの世界にも多くの若手が入ってきました。僕の年代は年代に吹き荒れた格闘ゲームブームの洗礼を受けた最後の世代です。それもあって下の世代は少し層が薄い時代が長く続き、コミュニティーの中では、先輩たちに歳下としてずっとよくしてもらってきました。
上の世代から受け取るばかりだった僕も、いつの間にかベテラン勢となり、若い後輩から相談されることが増えました。彼らからは「失敗できない」「絶対に負けられない」というプレッシャーをひしひしと感じます。
先日も後輩から「大会になると、いつものようなプレイができなくて悩んでいる」と相談を受けました。この悩みはまさに「勝ちにこだわり過ぎていた」昔の僕が抱えていたものでした。成績が残せないことへの焦り。業界の将来への不安。学業や就職への迷い。そんな心配が高じて練習に身が入らなかったり、大会で実力を発揮できなくなってしまう若手を、たくさん見てきました。勝ちにこだわるのは、もちろん悪いことではありません。しかし、せっかくの負けや失敗を「悪」と断定して行動しなくなってしまうのも本当にもったいないことです。負けや失敗は「勝つための重要な材料」。そう考えることで、世界の捉え方ががらりと変わります。