4人家族で4回のがん告知を受けた
深田家のケースで疑似体験
前回の当欄では「もしも家族が「がん」になったら?知っておきたい病院選び・情報収集法…」と題して、4人家族のうち3人で4回がん告知を受けたわが家の経験談を書き綴った。今回は後編として、「がん治療とお金」についてお伝えしたい。
わが家は夫と夫の両親と私の4人家族。4回のがん告知とは、義母(85歳)と私(52歳)の乳がんが4年前、義父(91歳)の前立腺がんが1年前、そして、先月診断を受けた義母がGIST(消化管間質腫瘍)。これは、わずか4年間に起こったことだ。
家族でがんに罹患したことがないのは夫だけ。がんは高齢になるほど罹患率が高くなるうえ、乳がんの発生率は40~50代がピークなので、わが家のような年齢構成ならそれほど珍しくないのかもしれない。
前回も書いたことだが、病気にまつわるあれこれをあらかじめ「知っておくこと」は財産になると思うので、個人的なケースではあるが「わが家のがん」についてお伝えすることにした。
女性は友人・知人、職場の人とのおしゃべりのなかで「自分の病気、家族の病気」が話題になることが少なくなく、他人の話から疑似体験できることもある。
一方、男性は家族の病気が会話に出たとしても、女性のように微に入り細に入り「おしゃべり」することはない。このため、家族ががんになると、女性よりショックの度合いが大きい傾向にある。男性のみなさんには当コラムで家族ががんになったときの疑似体験をしていただきたい。
後編となる今回は、FPである私の専門分野である「がんとお金」についてお伝えしよう。
高額療養費により1カ月の自己負担は10万円前後
読者のみなさんは、がんになるとどれほどの治療費がかかると思っているだろうか。これまでFP相談を受けてきた経験に基づくと、数百万円かかるだろうと思っている人は少なくない。実際には健康保険の「高額療養費制度」による払い戻しがあるため、治療費だけで短期間で数百万円もかかるケースはほとんどない。
高額療養費とは、病気やケガで高額な医療費がかかったとき、1カ月の自己負担が一定額を超えると、超過分について払い戻しが受けられる制度。
たとえば、胃がんや大腸がんで手術を受け、3週間くらい入院し、医療費(10割の部分)が100万円かかったとする。窓口負担が3割なら30万円支払うが、高額療養費制度により、一般的な所得の人なら最終的な負担は約9万円。超過分の約21万円は後日払い戻しを受けられる。