「知っておくこと」は財産になる
人の話で「がんの疑似体験」をするのは重要

がんで入院
家族や自分が「がん」になる前から「疑似体験」しておくことは大切です Photo:PIXTA

 同居している夫の母(85歳)が、GIST(消化管間質腫瘍)という10万人に1~2人の罹患率という珍しいがんの診断を受けた。数日前に手術をし、ただいま入院中だ。義母は4年前に乳がんに罹患し手術をしているが、今回のがんはその再発・転移ではなく、新たにできた原発がんである。

 夫の兄と弟はわが家の近くに住んでいるので、両親の一大事があると、いつもすぐに駆けつけてくれる。仲の良い「ファミリー」は、義両親と同居する私にとって、とてもありがたい存在だ。

 4年前に義母の乳がんが発覚したときは、義母の息子である夫の兄弟たちはそれなりに動揺しているように見受けられた。しかし今回のがんが見つかった時の兄弟とその家族の反応は冷静なものだった。

 それもそのはず、4年の間に「義母の乳がん(4年前)、私の乳がん(4年前)、義父の前立腺がん(1年前)、義母のGIST(先月)」と4人家族でがん告知を4回受けているから、ある意味「慣れてきた」のである。

 きわめて個人的なことを当コラムで取りあげることにしたのは、病気のことを「知っておくこと」は財産になると思うから。女性は友人・知人、職場の人との日常会話のなかで「自分の病気、家族の病気」が話題になることが少なくなく、他人の話から疑似体験できることもある。

 それに対して男性は、「がんになった人、その家族」の話題で長い時間おしゃべりすることはまずないだろう。なので、家族ががんになると動揺するし、それを受け入れるまでに多少の時間がかかる。

 自分や家族のがん告知、治療の経験を経て「知っておくことは財産になる」と痛感している。がんは遺伝子のミスコピーによるものと言われる。つまり高齢になるほど罹患率は高くなるので、40~50代の読者のみなさんの親がいつがんになってもおかしくない。人の話から疑似体験する機会の少ない男性読者に向けて、わが家の話を書き綴ってみることにする。