1万人を超えるリーダーは、「同じこと」に悩んでいた。
本連載は、1万人を超えるリーダーから寄せられた「悩み」に対し、明確な答えを提示するものだ。
著者は、日本最高峰のビジネススクール「経営アカデミー」で18年以上の登壇実績を誇り、経営者や企業幹部を指導してきた浅井浩一氏。全国で年間100回以上の研修や講演を行い、コンサルタントとしても現場に入り込む。
「離職率を抑え、メンタルを病む人をゼロにし、なおかつ目標を達成し続ける」ために、リーダーとともに考え、行動し、悩みの解決を図る。業種・業態を問わず、職場再建率は100%。これまで指導してきたリーダーの数は1万人を超える。近著に『1万人のリーダーが悩んでいること』がある。
人間、誰しも頼られたい
【悩み】シニア社員にプラスαの仕事を振ると、「私には無理だ」と泣き言ばかり。どう頼めばいいのでしょうか?
まもなく定年を迎える人に「もっとがんばってください」「若手と同じように多くの店舗を回ってください」と言っても、響くはずがありません。定年を迎えれば、会社がどうなろうと自分には関係ないからです。
また、仮にがんばろうとしてくれたとしても、肉体の衰えによって若手と同じようにはがんばれないこともあります。
「同じ営業マンだから」と、若手と同じように取引先の店舗をどんどん回れというのも酷な話。ましてや「プラスα」の仕事ともなれば、「勘弁してくれよ」と嘆きたくなるのがシニアの本音でしょう。
さて、あなたにひとつ質問があります。シニア社員に仕事をお願いしつつも、どこかで「シニア社員=やる気がない」という固定観念を持っていませんか。戦力外扱いして、半ば諦めていませんか。
人間、本音では誰しもが「頼られたい」のです。長年、最前線で戦ってきたベテラン社員ならばなおさらです。労られたら労られたで、「そうはいっても、自分はそこまで老いぼれじゃないぞ」とプライドが傷つけられます。
シニア社員には、「彼らが得意なこと」を頼みましょう。
体力は落ちているし、新しいテクノロジーにも疎い。それでも、今まで培ってきた経験をもとに、意外な特技を身につけているシニア社員は多くいます。
ある食品メーカーの事例をご紹介します。