優秀なエリートには共通点がある。彼らは「真面目に、我慢して、一生懸命」ではなく、「ラクして速く」をモットーに、効率よく結果を出し続けている。まじめさと仕事のパフォーマンスは比例しない。24年間で5万人以上のクビ切りを手伝い、その一方で、6000人を超えるリーダー・幹部社員を選出してきた松本利明氏の新刊、『「ラクして速い」が一番すごい』から、内容の一部を特別公開する(構成:中村明博)
仕事のできない3タイプには、
こう対応する!
現場への根回しで一番のポイントは、全体の中でやり直しが発生しそうな人を特定し、抑え込むことです。
どんな仕事も1人で完結するものはごくわずか。あなたの仕事が完璧でも、その前か後の工程で差し戻しとなると、仕事はとどこおります。
「仕事のできない人」は必ずいます。避けては通れません。この仕事のできない人はいつも同じパターンでミスを繰り返します。
でも大丈夫。仕事のできないタイプは3種類しかなく、それに応じた対応をすればいいのです。
(1)そもそも仕事が遅い(自分の作業スピード、段取りが悪く、いつも遅れる)
(2)抱え込んで自爆する(仕事の目的とゴールを確認せず、質問せず、抱え込む)
(3)間違えても気にしない(細かい確認に興味がなく、間違えたまま仕事を進める)
大前提として、仕事ができない人には決定的な特徴が1つだけあります。
「プライドは高いが、自分に自信がなく、ガラスのハートを持っている」
ガラスのハートだから報告・相談ができず、自分のミスを認められません。自分は悪くない、指示が悪いなど人のせいにします。加えて、もっとほめてほしい、認めてほしいと思っているのです。
そのため、仕事のできない人を責めるのは逆効果と言えます。
「よくがんばっているね」と存在を認めてあげることが先決なのです。そうすると、味方と思ってくれますし、心理的な抵抗を抑えられます。
仕事のできない人には「細かなフィードバック」ではなく、仕事を進めるプロセスと声かけを工夫することで、やり直しを抑え込みましょう。
ツールやフォーマットを用意し、指示の仕方を変え、相手が細かくチェックせざるをえないようにするのです。ポイントは、「苦手なことは相手の頭で考えさせない」です。3つのタイプ別に見ていきましょう。
(1)そもそも仕事が遅い
このタイプは自分なりに仕事を一生懸命やっているので「仕事ができない」という自覚がありません。むしろ「ちゃんとやっています。夜中までがんばっているんです。ほめてください」と思っています。自分で考えさせたり、工夫させたりしようとするのはムダです。ツールやフォーマットに沿って作業を指示します。任せて後で大きな損害を被こうむるより、入口で抑え込むのが一番。このタイプはオペレーションに正しく乗って作業することは得意なので作業に徹すればハイパフォーマーに化けることもあります。