第3章

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〈お昼のニュースです。今日は番組の冒頭で、政府地震対策本部の緊急発表をお伝えします。これは昨日から世界中に流されている東京直下型地震、富士山の噴火予知に対して、政府の災害対策の一つとして活動している、京スーパーコンピュータを使用した計算結果の発表です〉

 中年の男性アナウンサーが告げた。

 部屋中の者たちがテレビの周りに集まってきた。優美子も最前列で真剣な表情で見つめている。

 テレビ放送は、神戸の計算科学研究機構の一室からの生放送だった。

 大して広そうでもない部屋は報道関係者で溢れていた。

 中央に計算科学研究機構の有馬機構長、左に政府地震対策本部の井山部長、高脇は右側に座っていた。

〈これから発表することは先日の首都直下型地震の影響を考慮した、次なる東京直下型地震に対するシミュレーション結果です〉

〈先日以来、世界に配信されている地震と火山爆発の情報とは違うものですか〉

 機構長の言葉に記者席から声が上がった。

〈現在世界に流れているものは、私たちとはまったく関係ない情報です。出所も確認出来ておりません。私たちの発表は高脇東都大学准教授の研究が基礎になっています。高脇准教授には我々の研究チームに急遽合流していただき、より正確で緻密なシミュレーションを行ないました〉

 機構長はデスクのメモに目を移した。

〈予想される東京直下型地震はマグ二チュード8.6。最高震度は7。都内の各地で多数観測される模様。最悪の場合、4メートルの津波が東京湾を襲います〉