反省なんかしている時間はない

OODAループのループという意味は「みなおす」(Loop)です。「うごく」を終えた後、または「うごかない」と決めた後に、その結果がどうだったかを見直します。

明らかな失敗に終わった場合は、「みる」に戻ってもう一度OODAループを回します。改めて状況を観察して、世界観も必要に応じて更新します。

ただし、失敗したからといって、過去を振り返って判断や行動の間違い探しに時間を費やすことは禁物です。いくら後悔しても、失敗の事実が覆るわけではありません。

あらためて問い直すまでもなく、結果が悪かったのは行動や考え方がよくなかったからです。終わったことをあれこれ考えるよりも、また最初からOODAループを回すのが先決。それがOODAループにおける「みなおす」です。

実際、OODAループ思考が定着しているシリコンバレー企業では、誰も過去のプロジェクトや年度を振り返りません。ただ、これからどうしたらいいかを考えて行動します。

「日本の会社は何で中途半端な将来計画なんか作るのか。ましてや後からその結果を検証するなんてどうかしている」シリコンバレーの起業家にそう言われて、「彼らは深刻な中計病を患っているんだ」と説明したことがあります。

10年、20年先のメガトレンドを読むのでもなく、足元とちょっと先のことだけを見て、ごていねいにその振り返りまでをする日本の伝統的な企業のやり方は、彼らからはクレイジーに見えるようです。

何ものにもとらわれず、状況をあるがままに観察して、理解・判断して動いた結果が失敗だったら、その現実を受け入れて新たな方法を試す。

そうやってOODAループを何度も使っているうちに、「こういうときには、こううごく」という手持ちの行動パターンがどんどん増えて、直観力に磨きがかかります。そして成果が出るのです。