OODAループはアメリカ軍で世界の兵法や戦略理論を研究した成果をもとに開発され、シリコンバレーの起業家を中心に、アメリカのビジネスエリートに活用されるようになった思考法です。変化の激しい時代に速く的確に行動するために必要な知的技術と言えます。OODAループ第一人者の戦略コンサルタントが、日本人のためにわかりやすく、実践しやすいマニュアルとして解説したのが、『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』です。本書のウェブ版である本連載ではポイントだけを、よりコンパクトに紹介します。

シリコンバレーのベンチャーが、失敗からは学ばない理由Photo: Adobe Stock

自分できめたことしか、やり切れない

OODAループは、早く行動するための理論です。その3番目のAが、Act「うごく」です。「うごく」はごくシンプルです。

重要なのは、最後までやり抜くこと。単に行動するだけでなく、成果が出るように実行することです。

みて、わかって、直観的にきめたことを実行できなければ、それまでの時間はすべて無駄になってしまいます。「うごかない」と判断したとき以外は、断固として実行しなければなりません。

「うごく」ときは、すぐに実行するという意志を徹底することが最も重要です。

そうは言っても確信が持てない状況でうごくのは、誰にとっても不安なものです。やりきることも簡単ではありません。長い時間や鍛錬を必要とすることなら、なおさらです。

子どものころの習い事、語学や資格取得のための勉強、ジム通い、禁煙・禁酒、ダイエット……。よほど意志の強い人でもない限り、いったん決めたのに途中で投げ出してしまった苦い経験があるはずです。

そのとき、どんな気分がしたでしょうか。おそらく後味の悪さが残ったはずです。当然ながら思ったような成果は出ず、達成感も得られません。

子どものころならともかく、大人になってからも、自分でやろうと決めた勉強や運動が続けられないのはなぜか。それは、本当の意味で、自分で決めていないからでしょう。

体裁がいいから、周りがみんなやっているからといった理由で始めたことに、本気で取り組むことはありえません。自分で願望して自分で決めたことしか、人はやり通すことはできません。