元農水省事務次官の熊沢英昭被告による事件は世間に衝撃を与えた
元農水省事務次官の熊沢英昭被告による長男殺害事件は世間に衝撃を与えた(写真は新旧農水事務次官の記者会見の時の熊沢被告・左) Photo:JIJI

「新語・流行語大賞」のトップテンには入らなかったが、今年のネット上を賑わしたキーワードのひとつに「上級国民」があるのは間違いない。その理由は、霞が関でトップに上り詰めながら重大事件を起こした2人が注目されたためだ。1人は東京・池袋で母子2人を死亡させ、9人に重軽傷を負わせたとして自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で書類送検された旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三容疑者(88)。もう1人は長男を殺害したとして殺人罪に問われ、16日に判決が言い渡された元農林水産省事務次官の熊沢英昭被告(76)だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

BSE問題で責任問われた“上級国民”

 東京地裁の裁判員裁判で中山大行裁判長は、熊沢被告に懲役6年を言い渡した。

 判決によると、熊沢被告は6月1日午後3時15分ごろ、東京都練馬区の自宅で長男英一郎さん(当時44)の首などを包丁で数十カ所刺し、失血死させた。

 検察側は12月13日の論告求刑公判で「強い殺意に基づいて不意を突き、一方的に攻撃した」と指摘し、懲役8年を求めていた。

 判決の通り、事件があったのは6月1日の昼下がりだった。警視庁通信指令センターの110番に「息子を殺しました」と男性の声。警察官が臨場すると、1階和室の布団の上に男性があおむけに倒れており、上半身は血まみれ。近くには包丁も落ちていた。