一方、「新しいタイプ」は、雇用状況などの社会的要因や、職場などでのパワハラ・セクハラ、親の介護を含めた環境要因によって、ひきこもらざるを得なくなったタイプ。個人の資質以上に社会や国の経済政策の失敗等が抱える諸問題が影響しているのが特徴で、これまであまり扱われることのなかったという意味では、新しいタイプのひきこもりと言えます。

 もちろん、ひきこもりになる原因やきっかけは人それぞれですし、性格的な要素や社会的な背景などが複雑に絡み合っていますので、完全に分けられるものではないことは承知しています。それを踏まえた上で、この2つのタイプのうち、中高年のひきこもりでとくに注目したいのは、後者の新しいタイプでしょう。このタイプに属する人のほとんどが、ひきこもる以前は、正社員として働いてきた「一人前の社会人」でした。しかし、なんらかの理由でひきこもってしまったのです。新しいタイプのひきこもりの方々は、ひきこもりを「自分の事」として考えるべき問題として、私たちに突きつけてくれていると感じます。

ひきこもる人の共通点は「アイデンティティの弱さ」

 中高年のひきこもりは2つのタイプに分けられるいっぽうで、タイプを問わず、ひきこもる方々に共通して見られることがあります。「アイデンティティの脆弱さ、曖昧さ」です。若年であれ、中高年であれ、また、ひきこもってしまったおもな要因が本人の資質や性向に帰するものであれ、あるいは、雇用問題などの社会問題の反映であれ、ひきこもっている方々のほとんどが、アイデンティティが脆弱で曖昧な状態にあるのです。

 では、そもそもアイデンティティとはなんなのでしょうか。「アイデンティティ」には「自我同一性」という日本語があてられ、「自分が自分でいい、そして社会からもそんな自分(あなた)でいいと思われているであろう確信」を意味します。

 つまり、アイデンティティは2つの要素から成っていて、1つが「自分が自分でいい」という感覚で、これは「自己肯定感」と言いかえることができます。そして、あとの1つが、社会からも「そんなあなたでいい」と思われているであろうという確信です。