情緒的つながりは、自分に対する受容や共感がベース。家族や親友など、喜びや悲しみを分かち合ったり、何か悩み事があるときに親身になって相談に乗ってもらったりするようなつながりを指す。

 手段的つながりになると、もう少しドライな、トラブル対処や手助けなどの関係だ。普段、ちょっとしたお願いを聞いてもらったり、身辺の問題を一緒に解決してもらったりするようなつながりである。

 本書にある調査データによれば、情緒的と手段的の両方のつながりが多い人は、もっとも幸福を感じている。さらに、「情緒的つながりが多く、手段的つながりが少ない人」と「情緒的つながりが少なく、手段的つながりが多い人」を比べると、前者の方が幸福度が高い。

 これは、情緒的つながりの方が、手段的つながりよりも幸福度への影響が大きいことを示している。

 私自身を振り返ってみると、20代後半から40代半ばくらいまでは多忙で、仕事以外のつながりはほとんどなかった。

 仕事上の人間関係は、本書で定義している情緒的つながりはもちろん、手段的つながりにもなりづらい。だから私の場合、40代前半までは、つながりの人生資産が不足していたといえる。

 しかし、40代後半からはつながりの資産が増えていったのだ。なぜかと言えば、学生時代の仲間とバンド活動を再開したからだ。音楽という共通の趣味による情緒的つながりを、彼らと再びつくることができ、幸福度が増した。

 それだけではない。学生当時とは違い、バンド仲間の彼らはそれぞれ私とは違う業界で仕事をしている。そのため、自分が得意なIT以外の領域で何かあった際に助けてもらうなどと、手段的つながりも期待できるのだ。私の「つながりのポートフォリオ」はずいぶん多様化したのである。

 どうやら、どんなに仕事が忙しくても、意識して趣味のつながりを持った方が良さそうだ。

町内会や趣味、ボランティア…
「社会参加」が幸福度の増大に貢献

 趣味のつながりについては、本書にもデータが示されている。趣味の活動も含めた「社会参加」が幸福度の増大に貢献するというのだ。

 ここで社会参加は「地縁型」と「テーマ型」の2タイプに分類されている。前者には町内会・自治会、清掃活動や地域の見守り、地域の祭り、後者としては、趣味・娯楽など、勉強・学習・教養、ボランティア活動などが入る。

 実は私の友人の1人が、50歳を過ぎてから活発に社会参加を始めたのを知り、驚いたことがある。

 その友人は、先日、いきなり「50過ぎまでまじめに働いた。これからは自分が好きなことしかやらない」と宣言し、会社を辞めてしまった。今は自分の会社を立ち上げようと、頑張っている。

 ところが、彼のバイタリティーは、起業だけでは物足りなかったようなのだ。そこで、いろいろな社会参加を精力的に始めたのである。