米国の雇用市場は予想を上回り続けている。毎月のように20万の新規雇用が生み出され、失業率はエコノミストが10年前に下限と考えていた水準をはるかに下回っている。最大の理由は、経済が多くの場合、景気後退(リセッション)で中断されるまで雇用を創造し続けることにある。現在の米国の景気拡大は10年を超え、最長記録を更新した。典型的なリセッションの誘因――インフレ率や金利の上昇もしくは金融バブル――がない状態が続くかぎり、雇用の創出は続くはずだ。それでも雇用市場もいつかは壁に直面する。労働力に加わる人間が足りなくなるからだ。実際、景気循環的に好調な雇用市場はこのままいけば、人口動態面での暗い見通しに直面する。雇用は予想を上回るペースで増えているが、人口増加のペースはそれよりも緩やかだ。昨年7月時点の米国の人口は3億2700万人で、2014年の国勢調査局の予測より210万人少なく、2008年の予測と比較すると780万人も少ない(今年の人口は今月末に発表される)。
米雇用市場、好調の裏で忍び寄る暗い影
出生率の低下と移民規制で米国は人口面での優位性を失いつつある
有料会員限定
あなたにおすすめ