そもそもトランプ氏は、中東戦略において矛盾した考えを持っている。米軍を中東地域から撤退させたい一方、この地域を含めて自国の威力を誇示したい。この相いれない衝動に駆られているのだ。イラク議会は駐留米軍の撤退要請を決議したが、今回のイランの反撃による影響は大きい。トランプ政権は国家の威信を懸けて当面駐留を続けるだろう。このように中東地域で緊張が高まる状態が続くと、期せずして非常に居心地の悪い立場に追い込まれるのがわが国日本だ。

中東地域の緊張が高まる今
自衛隊派遣をイランはどう受け止めるか

 日本は米国と同盟関係にある。イランの核開発が北朝鮮と結び付いている以上、イランにある程度厳しく接さざるを得ない事情もある。

 しかしながら、日本は産油国のイランと友好関係を維持したいと考えている。イランと周辺国との関係が安定していなければ、日本の石油調達は不安定さを抱える。中東地域で緊張が高まる今のタイミングで、日本が自衛隊を派遣することをイランはどう受け止めるか。日本国内ではすでに、派遣を中止すべきだという声が上がっている。

 では派遣を断念したなら、何が起こるか。当然ながら、日米の同盟関係にネガティブな影響を及ぼし、将来日本に起こり得る安全保障上の懸念が強まりかねない。米軍基地が攻撃を受けたことに今回どう反応するかは、将来において日本の米軍基地が北朝鮮や中国から攻撃された場合の試金石となる。今自衛隊の派遣を断念すれば、将来の日本が直面し得る危機において、米国はどう考え行動するだろうか。

 現時点の動静であれば、安倍晋三内閣は自衛隊派遣を断念することはないだろう。そもそも今回の派遣は、米国に主導されてイランと敵対的な立場を取りに行く立て付けではなく、あくまで中東地域の安定に役立つための自国単独の行動だ。このように日本政府の意思が尊重された格好で派遣を決められたのは、安倍氏とトランプ氏の良好な関係があったからこそと見るべきだろう。