菅義偉官房長官記者会見で資料を受け取りながら質問に答える菅義偉官房長官=2019年12月4日午後、岩下毅撮影 (C)朝日新聞社

「鉄壁のガースー」ついに答弁破綻か――。

 政府にとって不都合な質問をバッサリ切り捨て、封じ続けてきた菅義偉官房長官。しかし、「桜を見る会」に関する答弁では、秘書官に助け船を求める場面が目立ち、ちぐはぐな説明が続いている。今、この局面で問われるメディアの態度とは。官邸による東京新聞・望月衣塑子記者への質問制限・妨害の内情の全貌を描いた『報道事変 なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(朝日新書)を出版し、自身も朝日新聞の政治部記者として官房長官会見を取材してきた新聞労連委員長の南彰氏が、特別に寄稿した。

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 官房長官の様子が一変した。

 国の税金を使った首相主催の「桜を見る会」をめぐる疑惑について、官房長官番の記者を中心に連日のように追及が続いている。「首相枠などはない」といった虚偽答弁が明るみに出て、公文書の招待者名簿を破棄した問題などで苦しい答弁が続いている。説明が破綻し、秘書官のメモに頼って何度も中断している状況も報じられるようになった。

 森友・加計学園問題のときには、疑惑を追及していた東京新聞の望月衣塑子記者や筆者に対し、「時間の浪費」などと攻撃する記事を量産してきた産経新聞まで「菅氏の鉄壁答弁崩れ」と報じているほどだ。

 市民の疑問をきちんと問いただし、政府に真実を説明するよう迫っていく――。こうした本来の姿の記者会見への変化を後押ししたのは、しっかりとした質疑を行っている記者をSNS上で評価し、エンパワーメントしてきた上西充子・法政大教授らの存在が大きい。

 毎日新聞は、そうした変化をとらえ、編集幹部自らがSNSで発信しながら、「政治とメディア」「メディアと市民」の関係を変えていくムーブメントを起こそうとしている。

 しかし、残念ながら、そうした変化に対応できない人もいる。

 11月21日、私のもとに次々と全国の記者からの連絡が押し寄せた。

「疑惑の最中に呼び出されて飯とか喰ったら飼い慣らされているように見えるのが、なんで社の上層部はわかんないのか? ほんと、ふざけるな!」

「オフレコの会食の誘いなんか断固拒否し、『会見を開け』と要求するのがスジだ」 

「現場の記者は、首相を取り巻く秘書官ににらまれながらも質問をぶつけ、疑惑を説明させようと必死にやっているときに、よりによってキャップがそろって懇談するなんて本当に泣けてくる」

「権力機構が腐っているときに、ジャーナリズムまで信用を失ってしまったらこの国は終わる。何だかもうやりきれない」