OODAループはアメリカ軍で世界の兵法や戦略理論を研究した成果をもとに開発され、シリコンバレーの起業家を中心に、アメリカのビジネスエリートに活用されるようになった思考法です。変化の激しい時代に速く的確に行動するために必要な知的技術と言えます。OODAループ第一人者の戦略コンサルタントが、日本人のためにわかりやすく、実践しやすいマニュアルとして解説したのが、『OODAループ思考[入門] 日本人のための世界最速思考マニュアル』です。本書のウェブ版である本連載ではポイントだけを、よりコンパクトに紹介します。

凡ミスばかりを繰り返す人の残念な思考法Photo: Adobe Stock

なぜあの人は凡ミスばかり繰り返すのか?

仕事はそこそこできるのに、つまらないところで凡ミスをする人がいます。大事なプレゼンの資料に抜け漏れがあったり、メールの送信先を間違えたり……。

誰にでもあることですが、度重なるとハインリッヒの「1・29・300の法則」(330回異常があれば、29回は軽いケガ、1回は重いケガにつながる)のとおり、いつか致命的なトラブルにつながりかねません。

目の前の仕事を確実にこなすことよりも新しいことに目が向きがちなタイプだったり、集中力が不足しているなど原因はさまざまですが、一言で言えばナメているということかもしれません。

これまで何とかやってきたのだから今度も大丈夫だろうとか、たとえミスがあっても自分ならうまくリカバリーできるだろうといった、それほど根拠のない考えでナメてかかって、そのうち痛恨のミスをおかしてしまう。減点主義の伝統的な日本企業では(それがいいかどうかは別にして)、まず出世しないタイプです。

とは言え、何でもかんでも時間をかけてやればいいわけでもありません。信頼する部下に任せるところは任せて、ルーティンワークはシステムやツールの力を借りてミスなくサクサクこなす。

その一方で、新しいことに取り組むときや、会社の中でこれまでとは違うポジションに就いたときには、しっかり状況を理解して冷静に判断しながらできる限り迅速に動く。

このメリハリがきっちりつけられれば、つまらないミスを減らせると同時に、時間や仕事に追われるストレスもだいぶ軽減されるはずです。